歴史 / 20世紀以降の南アフリカワイン

20世紀以降の南アフリカワイン史

19世紀を戦争とともに迎えたが、ケープのワイン産業は、複雑な世界情勢が絡み合う中で発展をたどった。しかし終戦とともにワイン産業は斜陽へ、フィロキセラ被害も重なると同時に、南アフリカ戦争の勃発
詳しくは『創成期から20世紀』

激動の19世紀が終わり、ケープの地は新たな時代の幕開けを迎える。遂に1910年5月31日、イギリス自治領【南アフリカ連邦】が誕生。その後、同国のワイン史を語る上で欠かせないKWV(南アフリカブドウ栽培者協同組合[Ko-operatiewe Wijnbouwers Vereniging van Zuid-Afrika] チャールズ・W・H・コーラー博士が初代KWV理事長)が、ケープワイン産業の健全化のため1918年に設立された。

KWVは市場の安定化のみならず、世界に誇れる産業としての発展を目的としたものであり、設立当初から様々な試みを行ってきた。たとえば、ワインやスピリッツの輸出入を管理したこと。また小中規模で独自に生産されていたブランデーを産業化し、1926年にイギリスへ輸出。1940年には、ワインの最低価格を設定(ワインおよびスピリッツ管理・改正法[Wine and Spirit Control Amendment Act])。これらの業績以外にも、ワイン教育におけるリーダーシップをみせ「ワインと食文化」と題するセミナーを1960年代から開催するなど、KWVの功労と功績は多岐にわたる。

1925年: ピノタージュ誕生(ステレンボッシュ大学のアブラハム・ペロード教授が、ピノ・ノワールとサンソーの交配に成功)。
1935年: 『Stellenbosch Farmers’ Winery (SFW) Limited』設立。
1940年: 『Wine and Spirit Control』改正法により、ワインの最低価格が設定される。
1945年: 『Distillers Corporation(現Distill Group Limitedワインやスピリット、サイダーなどRTD[ready-to-drink]を手掛けるグローバル・カンパニー)』設立。
1948年: アパルトヘイト法案化
1955年: 『Viticultural and Oenological Research Institute (VORI)』設立。
1959年: 『SFW』が セミ・スイート・ワインの「Lieberstein」の発売を開始。国内のワイン消費動向に大きな変革をもたらす。
1961年: 南アフリカで初めてピノタージュが『Lanzerac Wine Estate』のもとで瓶詰めされ、販売開始。
1964年: 『Lieberstein』が世界で最も売れた瓶詰めワインとなる(3100万ℓ)
1971年: 南アフリカ初のワイン・ルート『ステレンボッシュ・ワイン・ルート』が誕生。
1973年: Wine of Origin』法が制定される。Wine of Originの英語版はこちら
1975年:
第1回『Rare Cape Wine Action(現Cape Fine & Rare Wine Auction)』がNederburgにて開催される。
1979年:
『SFW』が一般を対象とした『Cape Wine Academy(CWA)』をステレンボッシュに設立。
1983年:
『Cape Winemaker’s Guild(CWG。南アフリカワインの品質向上を目的とした同国のトップ・ワインメーカーたちによる生産者団体)』設立
1985年:
国際連合は、南アフリカに対する経済制裁を要請。
※世界各国が1985年もしくは1986年から経済制裁を発動
(国際連合は、1950年代から国連憲章の原則に照らし合わせ、南アフリカにアパルトヘイト放棄を呼びかける。1963年には安全保障理事会が任意の武器禁輸を発動。1971年スポーツ交流をボイコットするよう呼びかける。など)
Nederburg Wine EstateのGünter Brözel が南アフリカ人として初めて「International Wine & Spirit Competition」でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。歴史的快挙となる。

Günter Brözel氏

初の「CWG Wine Auction」が開催される。

1990年:
『Wine of Origin』法改正
『SA Wines & Spirit export Association(SAWSEA)』が設立される。ネルソン・マンデラ氏が刑務所から釈放されたことにより、南アフリカワインは国際的に大きな転換期を迎える。
1990年:
『Wine of Origin』法改正
『SA Wines & Spirit export Association(SAWSEA)』が設立される。ネルソン・マンデラ氏が刑務所から釈放されたことにより、南アフリカワインは国際的に大きな転換期を迎える。
1991年:
Kanonkop Wine EstateのBeyers Truter が『International Wine & Spirit Competition』でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
1992年:
『Quota System(ワイン流通や最低価格を規定していいた取り決め)』の廃止。

『Cap Classique Producers’ Association』設立

1993年:
『Port Producers’ Association』設立
1994年:
新たな時代の幕開け
同年4月、すべての人種の国民が平等な権利のもとに参加した総選挙で、アフリカ民族会議(ANC)が政権を引き継ぎ、半世紀にわたり続いたアパルトヘイト(人種隔離)政策が終焉を迎え、南アフリカが民主主義国家として再出発をする。