中村僚我ソムリエによるWOSA公式南アフリカオンラインコースチャレンジ講座「赤ワイン編」、10/14(月祝)に開催しました!
✫9/1に開催した「白ワイン編」のレポートはこちら。
こちらの講座は、昨年リリースされた【WOSA(南アフリカワイン協会)オンラインコース Level.2】の公式コースを、日本語で解説する講座。英語資料を日本語で解説することで、ワイン英語も学ぼう、という素敵な講座です。
*オンラインコースの資料はこちら。
今回の講座では、この英語資料の赤ワイン品種に関する項目を、中村氏にポイントを押さえてレクチャーして頂きました。
・Pinotage
・Shiraz/ Syrah & Rhone Blend
・Merlot
・Cabernet Sauvignon
・Pinot Noir & Cinsault
・Cape Blend
セミナーではたくさんの情報を解説して頂いたのですが、先日10月12日はちょうど国際ピノタージュデーだったので、ピノタージュについてちょっとご紹介。
(余談ですが、XではファミマのKWVピノタージュがバズっておりましたね)
ピノタージュはご存じの通り、ピノノワール×サンソーの掛け合わせ。1925年にペロルド教授が開発した南アフリカの固有品種です。
ではなぜ「ピノソー」ではないかって?
サンソーは昔「エルミタージュ」と呼ばれていたため、その語尾を取って「ピノ・タージュ」なんですね。これは覚えていくと飲み会のネタに使えるかもしれません(笑)。
残念ながら1941年、ペロルド教授は自ら開発したピノタージュを味わうことなくこの世を去ってしまいました。
その後1961年にランゼラックが最初に商業的に発売。
1980年代までは、「rusty nails and nail varnish」とMWに酷評されるなど苦難の時代が続きましたが、ミスター・ピノタージュことBeyers Truterの功績により、1980年代後半よりピノタージュが復興していきます。
今ではトラディショナルスタイルからモダンなスタイルまでたくさんの美味しいピノタージュを味わうことができるようになりました(ペロルド教授ありがとう)。
今回のテイスティングは赤6種類。No.5のみ受講者によって種類が異なり2種類のご紹介。
以下は中村ソムリエによるコメント。
<ワインアイテム>
- LIEVLAND/ Bush Vine Pinotage 2022(リーフランド/ ブッシュ ヴァイン ピノタージュ)
輸入元:モトックス
参考上代 ¥2,750(税別)
品種:ピノタージュ96%、グルナッシュ4%
色合いも比較的淡いルビーの色調。まずピノノワールを思わせるもぎたての赤果実の香り。加えて樽由来のバニラやトースト、少しアーシーな野性のドライハーブ、南仏でいうガリーグのニュアンスも。味わいはジューシーでピノノワールを彷彿とさせるが、ピノと違うのは、綺麗なまま終わるのではなく、タンニンと酸もあり骨格がしっかりしている点。飲みごたえのあるジューシーなワイン。 - OAK VALLEY/ Sounds of Silence 2023(オーク ヴァレー/ サウンズ オブ サイレンス)
輸入元:シーズンワイン
参考上代 ¥3,400(税別)
品種:ピノノワール100%
かなり色は淡め。完熟した赤果実と、樽由来の甘いスパイス。ピーンと垂直に伸びるような高めの酸、2023年とヴィンテージも若いため収れん性あり。南アフリカワインの一つの特徴は「旧世界と新世界の融合」だが、このワインも果実の凝縮感はしっかりありながら、酸も高く、味わいの部分では旧世界らしさを感じさせる。ブラインドテイスティングで「NWっぽいけどOWの特徴もあるなぁ……」と思ったときは、南アフリカも候補に入ってくる。
面白いのがピノノワールの使用クローンもテクニカルに明記されている点。このワインはクローンPN114, 115, 459, 667, 777のブレンド。ざっくりだが、この数が大きいほど、果実のトーンが強くなるイメージ。114,115などは赤果実系のエレガントな感じが出やすく、777は黒系果実の香りが出やすい。 - NATTE VALLEIJ/ Coastal Cinsault 2021(ナット ファレー/ コースタル サンソー)
輸入元:ハミングバード
参考上代 ¥3,800(税別)
品種:サンソー100%
総じてピノノワールみたいなキャラクター。新樽不使用なので甘いスパイスの香りは少ないが、pungentなスパイスや、ローズマリーなどガリーグのドライハーブ感がしっかり。サンソーもピノノワールにかなり近いキャラクターを持つブドウと感じるが、少し異なるのは、やはり野性っぽさ、動物っぽさがある点。干し肉のようなニュアンスも。口に含むと、味わいも綺麗でピノノワールっぽく、タンニンもかなり緻密。「これは記憶に残るサンソーですね」。 - AUDACIA/ Shiraz 2021(アウダシア / シラーズ)
輸入元:(株)ティーライフ
参考上代 ¥4,400(税別)
品種:シラーズ100%
So2添加の代わりに、ルイボスとハニーブッシュのタンニン成分を使用したユニークなワイン(特許も取得)。今はSO2使用を控えるのがムーブメントでもあるので、今時のワインともいえる。ワインにもルイボスをはっきり感じるが、シラーズらしさと、アールグレーやルイボスティーのキャラクターがうまく溶け込んでいる。「シラーズ」と名乗っているとおり、完熟した果実ーブルーベリーや木苺、ペッパーのニュアンスがしっかり。味わいはジューシーでボリューミー。お肉を食べたくなるようなワインで、お肉にドライハーブをまぶして炭火焼きにする南アフリカ式BBQ(ブラーイ)にぴったり。 - JOURNEY’S END/ The Huntsman 2021(ジャーニーズエンド/ ザ ハンツマン)
輸入元:シーズンワイン
参考上代 ¥2,700(税別)
品種:シラー73%、ムールヴェードル17%、グルナッシュ10%
これは綺麗なシラー。しっかりしたワインかと思いきや、モダンでライト。完熟手前の最適なタイミングで収穫した、パリッとした果実。加えて、ガリーグ:ローズマリー、タイムなど地中海系のハーブ、黒コショウの実をミルで引いたときのペッパリ―な香りも顕著に出ている。華やかさと凝縮感、タンニンもありつつ、すーっと抜けていくので飲みやすく、すごくこなれている。丸く溶け込んだ酸、タンニンが少しざらざらっと残るのはムールヴェードルの皮の厚みゆえか。グルナッシュからくるジューシーさ、シラーからくるペッパリー感がうまく融合。
KWV/ Cathedral Cellar Triptych 2020(ケーダブリュブイ/ カテドラル セラー トリプティック)
輸入元:国分(株)
参考上代 ¥2,510(税別)
品種:カベルネソーヴィニヨン33%、シラー32%、マルベック18%、プティヴェルドー9%、デュリフ8%
色調からわかるように、かなりの凝縮感。しっかり完熟させたシラーをブレンドしていると感じる。CSが入っているので、少しミントのような香り。新樽率もかなり高いので(35%)、甘いスパイス:バニラやシナモンも。よくボルドーブレンドの表現に使うグラファイト(鉛筆の芯、鉛)、針葉樹の香りも。味わいもボルドーらしくカベルネらしさや新樽感も感じるが、アフターフレーバーにペッパーが隠れている。 - ASLINA/ Cabernet Sauvignon 2018(アスリナ/ カベルネ ソーヴィニヨン)
輸入元:(株)アリスタ木曽
参考上代 ¥3,500(税別)
品種:カベルネソーヴィニヨン88%、プティヴェルド14%
THEボルドーといった黒果実や青い果実のトーン。小粒のブラックカラント、プラム、プルーン、CS特有のミント感、ユーカリやメントールの香り。加えてフレンチオークの甘いスパイス、グラファイト、鉛筆の芯。骨格や酸はしっかりしており、溶け込んでいながらぐっと支えてくれる酸。ぎゅっと密度が引き締まった、ち密で細かいタンニン。タンニンを洗い流してくれる脂(お肉)が欲しくなるワイン。
今回もたくさんの「うーん、いいですね♪」、頂きました!
テイスティングパートでは、トップソムリエならではのテイスティングのレクチャーも。「酸とタンニンの質や形状のコメントもしっかり使い分けられると、よりワインをお客様に分かりやすく説明することができる」と中村氏。
例えば酸なら、縦に伸びる酸なのか、横に伸びるのか、丸く溶け込んでいる酸なのか。
タンニンなら、角ばっているのか丸いのか、砂のように細かいのか。
そしてワインをグラスから嗅いだときの香りとアフターフレーバーでは必ず違いが出るが、それはpHの違いによるということ。つまり口中に入るとワインのpHが上がるので香りが揮発しやすくなり、隠れていた香りがアフターフレーバーから感じ取ることができるのだそうです。
アフターフレーバーまで丁寧に感じ取っていきたいですね!
今回使用したオンラインコースはLevel1、Level2ともに無料で受講して頂けます。南アフリカワイン&ワイン英語の勉強にぜひお役立て下さい。
***WOSA公式オンラインコースの受講はこちら。
<Aya Mizukami>