産地/オリファンツ・リヴァー

1993年のWine of Origin(WO)の一部改正にともない、南アフリカワイン発祥の地、ワイン産業の中心として重要な西ケープ州を筆頭に、東ケープ州、北ケープ州、フリー・ステイト州、クワズル・ナタール州とリンポポ州という州を基準とした６つのGeographical Unitが誕生した。

Geographical Unit（州単位）

Region

※現在、【Region】があるのは西ケープ州のみ

オリファンツ・リヴァーは、スワートランドの北に位置し、南部には、コウエ・ボッケフェルト山やフールフォンテイン自然保護区山系にはじまり、シーダーバーグ山系やウィンターフック山脈からオリファンツ川に沿いに北進して大西洋に至る。様々なメソ気候を擁するのが特徴で、土壌はテーブルマウンテン砂岩とマルメスブリー頁岩が主体。中部クランウィリアムを抜けるとなだらかな丘陵地帯、北部は平野となり、侵食や風化の影響によって作り出された砂質沖積土壌から赤粘土のロームまで多彩だ。

山々のいくつもの支流からなるオリファンツ川

北部の降雨量は200mm以下、オリファンツ川からの灌漑が必須となる。南下するにしたがって標高が高くなり降雨量は増す、シトラスダルで平均474mm、山間となると700mmを記録する。乾燥した地中海性気候で、大西洋から海風の恩恵によって寒暖差が大きい地域だ。

1700年中期にはブドウ木などの果樹栽培が開始された。柑橘類の名産地としてシトラスダルと名付けられた街もある。白はシュナン・ブランやソーヴィニョン・ブラン、赤はグルナッシュ、シラー、ピノ タージュやカベルネ・ソーヴィニヨンが多い。少量ではあるが、高樹齢のグルナッシュやサンソーから素晴らしいワインが生産され、近年注目されている。

赤ワイン用主要品種として有名なのは、

・グルナッシュ
・シラーズ/シラー
・ピノタージュ
・カベルネ・ソーヴィニョン

白ワイン用主要品種として有名なのは、

・シュナン・ブラン
・ソーヴィニョン・ブラン
・セミヨン
・シャルドネ

年間平均気温： 18.3℃
年間降雨量：   474.0mm
夏季降雨量：     76.0mm
夏季最高気温： 30.2℃
夏季最低気温： 16.2℃
夏季日照時間： 9.9時間
※夏季の数値は12～３月の【シトラスダル】の平均値
※1999年～2019のデータ
https://en.climate-data.org/africa/south-africa/western-cape-469/

シトラスダル・ヴァレーの土壌はテーブルマウンテン砂岩とマルメスブリー頁岩からなるオリファンツ川が作り上げた沖積土壌。山間部の起伏あるところから川沿いにかけて砂質・砂利が比較的多いローム層であり、肥沃ながらも水はけがよい。

渓谷内の下に位置する平地には量産型のブドウ園が多いが、山間部の斜面にある砂質・砂利が多い畑では良質なブドウが栽培されている。主要黒ブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニョンやシラー、グルナッシュ。白はシュナン・ブランとコロンバール（主にブランデー用として量産されている）。またシャルドネも多く栽培されている。降雨量は450～700mmと産地で差があり、灌漑を必要とする場合、オリファンツ川やクランウィリアム・ダムが貴重な水源となる。大西洋からの海風の影響で昼夜の寒暖の差が大きく、凝縮感ある香りや風味のブドウが栽培されている。

シトラスダル・ヴァレーの西に位置し、オリファンツ・ヴァレーの中でも500～700mと標高が高い山の中腹にある地区だ。こちらもシトラスダル・ヴァレーと同じように砂質・砂利が比較的多いローム層で、水はけがよい。標高が高いため昼夜の寒暖差がある。

赤はグルナッシュやシラーといったローヌ系品種、ピノタージュの栽培が盛んだ。白はシュナン・ブランを筆頭に、ソーヴィニョン・ブランやセミヨン。グルナッシュ・グリも栽培されている。南アフリカを代表する古木の産地として近年注目を集めているPiekenierskloof小地区、1950年代に植樹されたブドウ木の数々から今もなおワインが造られている。

褶曲衝上断層帯が作り上げた急峻な丘陵地帯

この他に、北部にはどの地区にも属さないSpruitdriftとVredendalの2つの小地区が存在する。