歴史 / 民主化とともに迎えた『新たな時代の幕開け』

民主化とともに迎えた『新たな時代の幕開け』

20世紀に入り、イギリス自治領「南アフリカ連邦」が誕生。混乱していたケープワイン産業の安定化のため『Wine and Spirit Control』法の成立やワインの最低価格を設定、様々な生産者団体や協会も設立され、ワイン産業とそれを取り巻く環境の整備・近代化が進められた
詳しくは『20世紀以降の南アフリカワイン史』

その最たる例が、1973年に制定された【世界で稀にみる厳しい基準】と高く評価されている「南アフリカワイン原産地呼称(W.O.[Wine of Origin])」だ。これはEUのワイン法などをもとにワインの品質を厳格に管理・保障する制度であり、南アフリカワイン産業の近代化の象徴である。

1991年には、アパルトヘイト終焉に先駆けて『Association for Responsible Alcohol[ARA]』を設立。ワイン産業だけでなく、アルコール飲料を生産している各種団体から卸や販売業者もメンバーに加わり、アルコール飲料の乱用や誤用によるリスクや被害を削減すべく「責任ある使用を促進すること」を目的に定め、社会問題への取組も開始した。

そして1994年、すべての人種が平等な権利のもとで参加した国民投票が行われ、アフリカ民族会議(ANC)が政権を引き継ぎ、半世紀にわたり続いたアパルトヘイト(人種隔離政策)が終焉を迎え、『民主主義国家』南アフリカ共和国が誕生した。

南アフリカワイン産業にとってこの民主化は、多くのワイン生産者がヨーロッパをはじめ、世界各地の銘醸地に赴き研鑽を積むきっかけとなり、新たな時代の幕開けを迎えた……。

1995年: 『Pinotage Producers’ Association』設立
1997年:
『KWV』は、組織改革を行ない株式会社として再スタートする。
(現在も約4500もの農家が株主として設立当初の理念を引き継いでいる)『ARC Infruitec-Nietvoorbij [Agricultural Research Council]』設立。
1999年: ワイン業界の生産者や農家、団体だけではなく、そのコミュニティに関わるすべての人がワイン産業の成長と繁栄を公平に分かち合えるように『SAWIT(South Africa Wine Industry Trust)』を設立し、労働環境の改善・改革にも乗り出す。
2000年: 初の『Cape Wine』開催(国内外からワイン関係者が来場する南アフリカワイン代展示会)

1990年に設立された『SAWSEA(SA Wines & Spirits Export Association)』を『Wines of South Africa (WOSA)』と改名、主要輸出国における「南アフリカワイン」のブランド構築を目指し、南アフリカワイン産業の国際的な成功に貢献することをミッションに掲げる非営利業界組織として再出発する。

2001年: Boland CellarのAltus le Rouxが『International Wine & Spirit Competition(IWSC)』でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
2002年: 2000年に初開催された『Cape Wine』第2回が大成功を収める。

『South Africa Wine and Brandy (SAWB)』が設立され、2020年までに達成すべき経済発展や社会の向上、雇用の平等など社会とワイン産業安定化のための10項目を掲げた「Wine Industry Plan(WIP)」を発表。
※翌2003年、農務・土地開発大臣によって承認。

2004年:
民主化10周年を迎えるなか、第3回『Cape Wine』がCape Town International Convention Centre (CTICC)で開催され、世界各国のメディアやバイヤーから注目を集めた。

独特の生物多様性がおりなすテロワールを備えたワイン産地に関する
詳細な情報を掲載した「Aspect」をWOSAが発行開始。

南アフリカワイン産地の約90%が『ケープ自然保護区』にあり、ブドウ畑と世界自然遺産との共存を図るため、国際的な環境保護団体と協力してBWI(Biodiversity and Wine Initiative)が設立された。

2005年:
世界初の自然保護区内を通るワインルートがエルギン・ヴァレーから
ボットリヴァーにかけて誕生(フルーンランドベルグ[Groenlandberg]自然保護区)
2006年: WOSA主催『Cape Wine』第4回は、国内外のワインメディアやバイヤーを魅了し、大成功を収めた。この期間に行われたセミナーで、ワイン生産者の約40%が、人と土地を尊重し、持続可能で環境に優しい方法で農業を行うことが記された誓約書に署名。また自分たちの畑や土地を保持保全していくための多様性調査にも署名が行われた。
2007年: Flagstone Winesが世界最大のワイン商社Constellation傘下に。
2008年: WOSA主催『Cape Wine』第5回が開催され、300以上の生産者が出展。

WOSAは『Aspect』を改訂。

Kanonkop EstateのAbrie Beeslaar 『IWSC』でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

2009年:  南アフリカワイン生誕350年周年。
雑誌『The Drinks Business』が選ぶウーマン・オブ・ザ・イヤーを、WOSAのCEO、Su Birchが受賞。
2010年: BWIチャンピオンたちとメンバーたちが保護保全活動を行っている総面積が126,590ヘクタールを記録(ウエスタン・ケープ州にあるブドウ畑の120%以上に相当)。
  環境、持続可能性、気候変動に関などテーマごとに世界をリードした企業や人々に贈られる『The Drinks Business Green Awards』8部門中4部門で南アフリカのワイン生産者が受賞する快挙となった。
・Paul Cluver WinesのDr Paul Cluverが「Lifetime Achievement Award」で最優秀賞を受賞
・Biodiversity & Wine InitiativeのInge Kotzéが「Personality Award」で最優秀賞を受賞
・Backsberg family wineryが「Sustainability Award」で最優秀賞を受賞
・Paul Cluver WinesとStellar WineryのOrganicsレンジが「Ethical Award category」で優秀賞を受賞
  イギリス市場で、約20%の伸びを記録した南アフリカワインがフランスワインを上回る快挙をみせた。WOSAは『Aspect』を改訂。
  エコフレンドリーと品質を保証する世界初の認証シールを発表
  初のWOSA Sommelier World Cupを開催。12カ国の代表ソムリエがファイナルステージで優勝を競った。
  DistellのCallie van Niekerkが『IWSC』でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

FIFAサッカーワールドカップ開催
WOSAは、同大会を盛り上げるためのアニメ動画を制作。

『Cape Wine』10周年記念し、Cape Wine『Braai Masters』を発行

2011年: WOSAは、主要輸出国における「南アフリカワイン」のブランド構築
を目指し、明確な活動目的を提言。
・アフリカ諸国でのプロモーション活動
・アジアマーケット向けに、日本語、韓国語、中国語の資料を発刊
・サステイナブル・シールの広報を目的とした動画を制作
・マスタークラスや4つのセミナーなど、「WOSA Wine Workshop tours」を主催
The Drinks Business Green Awards』
・Durbanville Hills Wineryが「Ethical Award」を受賞
ケープタウンが、産業デザイン社会国際会議による都市振興プロジェクト(World Design Capital)において、経済、社会、文化や環境の発展を促す効果的なデザインを使用しているとして表彰を受ける。
2012年: WOSAのSu Birch(2000年にCEO就任)は、国際市場において
南アフリカワインの評価を高めた彼女の功績を『Wine Intelligence』が評しワイン業界における世界トップ10の一人として表彰。
『International Wine Review』が南アフリカを世界で最も発展したワイン観光地に選出
  『The Drinks Business Green Awards』
・南アフリカ国内で、献身的かつ継続的にサステイナブルの実践を促進してきたとして、WOSAに「Generic Sustainability Award」が授与された。
  Klein Constantiaの極上甘口ワイン『Vin de Constance 2007』が南アフリカワイン史上初、ロバート・パーカー『Wine Adovocate』評価で97点を獲得 。
  数カ月後に、Sadie Family 『Old Vines Series Kokerboom 2011』も97点を獲得する快挙が続いた。
  『Cape Wine2012』開催(9月25~27日)
※2008年開催の約2倍の2,538名が来場。
※ワインの輸出量が飛躍的な伸びを記録(2008年から1000万ℓ伸びる)

2013年:
WOSAのSu Birch(2000年にCEO就任)が、『The Drinks Business Green Awards Lifetime Achievement Award』を受賞

記録的収穫となった2008年と比べて4.6%増加し、1,425,612トンを収穫。

2010年 WOSA Sommelier World Cup初大会同様に、12カ国の代表ソムリエがファイナルステージで優勝を競った。

WOSA、Wine of ArgentinaとWine of Chileが『The Beautiful  South』を共催

南アフリカワイン史上、初めてワインの輸出量が5億リットルを超え、
5億2330万リットルを記録

世界各国の富豪や投資家たちによる南アフリカのワイナリーへの投資が盛んになる

2000年にWOSA CEOに就任したSu Birchが退任し、Siobhan Thompsonが新CEOに就任。
※Distellブランド「Amarula」のGlobal head of Marketingなどを歴任

2014年:
Michael JordaanがJohann Krigeの後任としてWOSA会長に就任

WWFの『Earth Hour City Challenge』で南アフリカの都市ケープタウンがCo2の排出計画、エネルギーや水資源、食料にいたるまで気候変動への
取組が評価され、「Global Earth Hour Capital」を受賞

『The Drinks Business Green Awards』
・Le Motteの栽培者Pietie le Rouxが「Personality of the Year」を受賞

FairviewのオーナーであるCharles BackがIWCの『Lifetime Achievement Award』を受賞

2015年:
『Cape Wine 2015』開催
58カ国からワイン関係者が来場者し、大成功を収める
  Kanonkop Estateの醸造家Abrie Beeslaarが『IWSC』で2度目のワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
International Wine & Spirit Competition金賞受賞数が50%増加
2016年:
第3回WOSA Sommelier Cupを開催。海外の予選を勝ち抜いた8名のソムリエが、決勝の舞台でその知識と技術を競った。

米国ワイン雑誌『Wine Enthusiast』が、Mullineux & Leeu Family WinesのAndrea Mullineuxをワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選出。

ロンドンのEast End’s Historic Tobacco Dockで、138もの生産者が参加して『Intrepid』と題したワインテイスティングを単独開催。南アフリカの大胆かつダイナミックなワイン造りを喧伝することに成功し、最もエキサイティングで刺激にみちたワインショー・オブ・ザ・イヤーと評価された。

アメリカ市場において、ワイン販売量が10%、価格が25%の成長を記録
ヨーロッパ市場でも飛躍の年となった(イギリス13%、ドイツ19%、オランダにおいては32%の成長を記録)
※カナダでも19%も成長

2017年:
WOSA【Discover South Africa】が『The Drinks Business』の
The Drinks Business Asia Award 2017を受賞。『Institute of Master of Wine』と『The Drinks Business』が選出する「The 2017 Winemakers’ Winemaker Award」を、南アフリカSadie Family Wines の醸造家Eben Sadieが受賞
  W.O.のケープ・ペニンシュラ地区(District)が廃止され、新たに『ケープタウン地区』が誕生。旧ケープ・ペニンシュラ地区のコンスタンシア小地区(Ward)とオート・ベイ、旧タイガーバーグの小地区(Ward)ダーバンビルとフィラデルフィアの4で形成される。

Kanonkop Estateの醸造家Abrie Beeslaarが『IWSC』で
3度目のワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

2018年:
『Cape Wine 2018』を開催。国内外から2,414人のワイン業界関係者が来場。
352名の南アフリカワインの生産者が参加し、成功をおさめる。
  市場において、2月2日が南アフリカワインの日となる。
  Old Vine Project(ロサ・クルーガー女史が2002年に開始した樹齢35年以上の古木を南アフリカ国内で調査するプロジェクト)は、世界初となる『Certificated Heritage Vineyards seal』を発表。
※同プロジェクト・メンバーであり、OVPが独自に定める栽培・醸造ガイドラインに従って醸造されたことを保証する認証シール

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2019年:
南アフリカの『University of Stellenbosch』と『Chenin Blanc Association』の呼びかけのもと、第1回『Chenin Blanc International Congress(シュナン・ブラン国際会議)』がフランスのアンジェで7月1~3日まで開催。
Thokazani WinesのManaging DirectorであるDenise Stubbsが「the world’s top women entrepreneurs in the 2019 Enterprising Women Awards」を受賞。
※年商100万ドル以下のカテゴリーにて世界最大のワイン・トレードショーである『ProWein』に1994年から参加。
記念すべき第25回という節目の年を主催者とともに迎える。『Sauvignon Blanc Interest Group (SBIG)』が『Sauvignon Blanc South Africa』と改名南アフリカで、初めてアシルティコがステレンボッシュのジョーダン・ワイン・エステートで植樹される。
第4回WOSA Sommelier Cupを開催。海外の予選を勝ち抜いた11名のソムリエが、決勝の舞台でその知識と技術を競った。
※日本からは、銀座ロオジエの井黒卓ソムリエがファイナリストとして決勝を戦った
2020年:
エコフレンドリーと品質を保証する世界初の認証シールを誕生から10周年。
Waverley Hillsが、長年研究を重ねてきたマルセラン種(カベルネ・ソーヴィニョンとグルナッシュの交配品種)の収穫に成功。オーガニック認証も取得し、2021年にリリースされる予定。

Kleine Zalzeが、ドイツで開催される世界のワインが集う国際ワインコンクール『MUNDUS vini』で、南アフリカのベスト・プロデューサーに選ばれた。

Spierが『2020 Inspirational Africa Responsible Tourism Award』の「Responsible Business category」で金賞を受賞。

Aware(Association for Alcohol Responsibility and Education)が、地域社会におけるアルコール乱用の抑制を目的としたマーケティング・ガイドラインを提言・運用を開始。

COVID-19パンデミック対策により、ワインおよびアルコール類の販売禁止令が出されたほか、一時は酒類の輸出制限という規制も設けられた。

『The South African Wine Industry Transformation Unit (SAWITU)』が、黒人企業の持続的発展を支援するために、初となる黒人所有企業専用スペースをNietvoorbij Cellar内に設ける賃貸借契約を『Agricultural Research Council (ARC)』と交わした。
2021年:
1971年に設立されたステレンボッシュ・ワイン・ルートが、記念すべき50周年を迎える。
南アフリカ初のスパークリングワインSimonsig『Kaapse Vonkel』が誕生してから記念すべき50周年を迎える。
※キャップ・クラシック([MCC] Méthode Cap Classique)南アフリカで造られる伝統製法のスパークリングワインの呼称
『The South African Wine Industry Transformation Unit (SAWITU)』が、黒人企業の持続的発展を支援するために、初となる黒人所有企業専用スペースをNietvoorbij Cellar内に設ける賃貸借契約を『Agricultural Research Council (ARC)』と交わした。