【プレスリリース】南アフリカワイン輸出レポート2024

南アフリカのワイン輸出、激動の時代にも堅調を維持

南アフリカのワイン輸出部門は、着実に縮小する世界ワイン市場を乗り切り、2024年の輸出額は緩やかな伸びを示しました。ワインズ・オブ・サウス・アフリカ(WoSA)CEOのシボーン・トンプソン氏によれば、パッケージワインとバルクワインを合わせた輸出総売上高は前年比4%増の5億6,200万米ドルに達し、数量は前年とほぼ同じ3億6,200万リットルを記録しました。

パッケージワインの販売量は1億2,340万リットル(5%増)で、金額では4%増の4億3,000万米ドル、バルクワインの販売量は1億8,280万リットル(3%減)で、金額では6%増の1億3,200万米ドルでした。

世界的なワイン消費減少の中で

国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、世界のワイン消費量は近年減少を続けており、2008年から2023年の間に約10%減少しています。南アフリカ最大の市場である英国の一人当たり消費量は2009年にピークを迎えました。金額ベースで世界最大のワイン市場である米国では、一人当たりの消費量は2017年以降減少しています。

加えて、地政学的緊張やインフレの影響で、2023年は消費減少がさらに加速しました。しかし、オランダやカナダ、日本、そしてアフリカ市場(タンザニア、ザンビア、ガーナ、モザンビークなど)では、南アフリカ産のパッケージワインが好調な成長を見せ、業界を支えています。

品種の多様性と市場の変化

バルク市場では、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブラン、シラーズ、ピノタージュ、メルローといった品種が好調です。これらの特定品種の需要増加は、単なる「辛口白」や「辛口赤」といったカテゴリーを超えて、品質や差別化を求める消費者の動向を反映しています。

「ワイン市場の縮小は否めませんが、戦略的なマーケティングと強固な流通網を持つ生産者は成功しています」とトンプソン氏は述べています。生き生きとした洗練されたワインを造る進歩的で柔軟性な生産者、ブランド価値を打ち出す生産者が、市場での存在感を高めているといいます。

回復力と未来への展望

南アフリカワイン協会(Vinpro)のリコ・バソンCEOも、業界の柔軟性と回復力を強調しています。「2年連続の少量収穫が続き、国内のブドウ畑と総生産量の下方修正に見舞われた厳しい環境にもかかわらず、南アフリカのワイン業界は戦略的な植え付けや干ばつに強い品種の導入を進めています。2025年の収穫に向けて、業界はバランスの取れた供給体制を維持している。これは、国内市場(数量の60%)と輸出市場(数量の40%)の両方にとって良い兆しです。品質の高さは引き続き評価されています」。

国際イベントへの参加とツーリズムへの期待

「WoSAは今年、ProWeinのような国際的なイベントに参加できることを非常に楽しみにしています。9月10日から12日まで、国際的な貿易業者やメディアを対象に、ケープワイン(CapeWine)という最高のショーケースを再び開催する予定です」とトンプソン氏。さらに、「私たちのカテゴリーに対する関心は非常に高まっています。また、ケープタウンが2024年タイムアウト誌で“世界一の都市”に選ばれ、コンデナスト・トラベラー誌で2024年の“ベスト・フード・シティ”の称号を獲得したことにより、ケープ・ワインランドへの観光客、そして業界関係者からの注目が一層高まると確信しています」と述べました。

一方で、彼女は「個人消費における緊縮財政が続いていることや、今年発生する可能性のある関税戦争の影響を考えると、輸出の見通しを予測するのは難しい」と指摘。しかし、「それでもなお、食欲をそそる魅力的なワインを市場に送り出す準備は整っています」と力強く締めくくりました。

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